ロジカルシンキングを直訳すれば「論理的思考」ですが、ロジカルシンキングとは単に「物事を論理的に考える」というスキルではありません。
ここでは、ビジネス上の課題を効率的に解決したい方に向けて、ロジカルシンキングとはどんなスキルであるのか、どのように身につけていけばいいのか、具体的にどのように使っていけばいいかを紹介しますので、ぜひ実務に役立ててください。
こんなあなたにお薦め
ロジカルシンキングを身につけて、問題解決力を高めたい人
ロジカルシンキングとは?
ビジネスで直面する課題の多くは単純なひとつの事柄を原因としているわけではなく、内外のさまざまな出来事が原因になっています。
例
たとえば「ある商品の売上げが急に激減した」という問題が起こったとすれば、競合他社が魅力的な代替商品を投入したのかもしれませんし、その商品の需要が減少したのかもしれません。
机のうえで解く練習問題と違って、現実に起こる課題は通常さまざまな事情が複雑に絡まり合っており、一見しただけでは原因が特定できないことがほとんどです。
原因を正しく把握できないのであれば、正しい対処法もとれないでしょう。
こうした状況で役に立つのがロジカルシンキングです。
複雑に絡まった問題を要素ごとに細かく分解、整理して考えることで、起こっている現象を深く理解し、適切な解決法を模索することを可能にします。
ロジカルシンキングのメリット
ロジカルシンキングを用いることには、次にあげるようなメリットがあります。
ロジカルシンキングのメリット①:分析力・問題解決能力を上げられる
世の中で起こっている現象の多くは単一の原因のみが引き起こしているわけではありません。
ある現象が起こったとき、なぜその結果が現れたのか一見すると原因が分からなかったり、原因らしきものを直感的に見つけられたとしてもうまく因果関係を説明できなかったりすることも多いでしょう。
ロジカルシンキングによって、起こった出来事を要素ごとに分解して分析を加えることで結果と原因の因果関係を見極められるようになります。
問題解決の第1歩は、まず問題が起こっている根本的な原因を探り出すことです。
つまりロジカルシンキングのアプローチによって分析力と問題解決能力を向上させられるのです。
ロジカルシンキングのメリット②:コミュニケーション能力・提案力が向上する
適切にコミュニケーションをとるためには、相手が言っていることを正確に把握するとともに、相手に自分の考えが誤解なく伝わるように、また相手が理解しやすいように伝えなければなりません。
ロジカルシンキングを身につけることで聞くことと話すことの能力を向上させ、ビジネスにおける重要なスキルであるコミュニケーション能力や提案力を高めることができます。
ロジカルシンキングの手法
ロジカルシンキングではよく演繹(えんえき)法と帰納法という手法が用いられます。
ロジカルシンキングの手法①:演繹法
演繹法とは、大前提となる考え方や定説、公式などに物事をあてはめて推論を組み立てる論理展開の手法です。
例えば次のように考えます。
前提におくデータや考え方が正しければ、明快かつ説得力の強い推論を組み立てられますが、データや考え方に誤りがあると導き出される結論も誤ったものになることが多いです。
ロジカルシンキングの手法②:帰納法
帰納法とは、具体的な事実から共通する法則を導き出す手法です。
次のように一定の法則を導き出します。
ただしこの場合、具体的事実のデータが少なかったり、データを収拾した業種や年齢層などのサンプルに偏りがあったりすると導き出された法則が普遍性を欠いてしまう可能性があります。
ロジカルシンキングのデメリット
ロジカルシンキングは有用ではありますが、もちろん万能のツールではありません。
ロジカルシンキングのデメリット①:前提条件を検証できない
ロジカルシンキングは、ある考え方やデータを基盤として正しく論理展開、推論をして結論を得るアプローチです。
判断材料となるデータや大前提として置く考え方に間違いがあると正しい結論を得られません。
ロジカルシンキングは、演繹法や帰納法などを用いて論理的に正しい推論を得る手法であり、前提に誤りがないかどうかを検証するためのツールではないことに注意が必要です。
ロジカルシンキングのデメリット②:主観の混入が避けられない
ある事実を構成する要素は無数にあります。
そのすべてに検討をくわえることは非現実的であるため、ロジカルシンキングをおこなう際には関連のありそうな事柄のなかから特定のものを抜き出して検討を加えます。
どの要素に検討をくわえ、どの要素を切り捨てるかという部分で作業をする人間の主観が入り込むため、ロジカルシンキングといえど完全に客観的な判断をくだすことはできません。
ロジカルシンキングのデメリット③:論理の飛躍ができない
ロジカルシンキングは積み木を組み上げるようにして推論を重ねていく手法です。
このため、ときとしてある種の論理の飛躍が必要なイノベーティブ、クリエイティブな発想はロジカルシンキングからは生まれてきません。
ロジカルシンキングのデメリット④:因果関係が未来も成立する保証がない
ロジカルシンキングでは過去の事例や一般法則などを用いて分析や問題解決方法の策定をおこないます。
しかし、手がかりとして用いる過去の事例や経験、因果関係などは、現在や未来も有効であるとは限りません。
内外の環境や事情の変化のために因果関係の枠組みが壊れてしまうと、論理的に正しかったはずの推論が妥当ではなくなってしまう場合があります。
ロジカルシンキングをより深く学ぶために
ロジカルシンキングを身につけるためには、理論を学ぶとともに、実践していくことが重要です。そこで紹介したいのがこちらの書籍です。
各章ごとに練習問題が収録されているため、理論を学ぶとともに反復練習を通してロジカルシンキングを身につけられます。
ロジカルシンキングを身につけるためにはなによりも実践が必要です。
日々の業務のなかでも目の前に立ち上がってきた課題を細分化して原因を追及したり、なにかの決定をするときに「なぜそのときに」、「なぜそれを」、「なんの目的で」、「なぜその人が」、などとなぜを自分に繰り返し問うていったりすることでロジカルシンキングの技術を身につけていくことができます。
まとめ(ロジカルシンキングは必須のスキル)
書店に行くと数多くのロジカルシンキング関連の本が並んでいることからも分かるように、いまやロジカルシンキングはビジネスマンの必須スキルという位置づけがされています。
一方で、ロジカルシンキングとはなにか、どのように身につけ、どのように利用していけばいいかということについて正しく把握できている人は多くありません。
この機会にぜひ正しくロジカルシンキングを身につけ、ライバルに差をつけてください。